ほっぺ

2007年9月29日 (土)

ほっぺ

 真っ暗な闇夜に、ロウソクの火が点る。僕たちはその小さな火を囲んで座っていた。その火はそれぞれの体に流れ込む。入り口は眼だ。八つの眼にはすべて、その火が鮮やかに映りこんでいた。

 不意に炎が上がる。誰かが花火の先をその火にかざしたのだ。すぐに、花火の先から、白っぽい眼のくらむような細い炎が噴出す。その瞬間、あちこちから、黒い花火がロウソクに差し伸べられた。

 僕は、手に花火を持ちながら、次々とロウソクに花火が差し伸べられ、次々と明るい炎を点していくさまをじっと見ていた。明々と点される花火。人はそれを振り回し、きゃっきゃと騒ぐ。

 その時、彼女が僕の右に来て、しなやかな左手に花火を持って、ロウソクにかざす。最初明るく燃えたものの、その炎は急速に小さくなっていく。ロウソクの小さい明かりの前に、黒い影が二つ。一瞬の後、シューっと花火が青白い炎を細く吐き出す。僕は、恐る恐る、隣の彼女を見た。ほんのりと赤く色づいた頬に、花火の青白い火がチラチラと瞬いていた。

 もうちょっと、いいように書きたかったんですが、もう秋なんで。。。

 クライマックスにしたかったのはこんなイメージです(*^_^*)。

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2007年7月17日 (火)

ほっぺ(3)

左手は、松の繁みがだらだらと続いている。ようやくすれ違う車がヘッドライトをつけ始めたころだ。空はまだ青い。太陽が少し黄色みがかってきた。健治は、パイナガマビーチ向かいのコンビニ前に自転車を止めた。ガラス越しに雑誌売り場を覗き込むが、まだ友人たちは来ていないようだ。時計はそろそろ7時を指そうとしている。「早く来すぎたな」と、健治は思った。時間にうるさくないここでは、あと15分は一人で待たないといけない。と、健治の横に自転車が2台やってきた。大志の友人でクラスの違う和也と伸太郎だった。「よー」と健治は左手を軽く上げた。二人はニコニコして、「他のやつらは」と、聞いてきた。「まだみたい」と、健治は答えた。

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2007年6月 3日 (日)

ほっぺ(2)

209 健治の家は、漁港を持つ小さな集落の中にある。両親が結婚したときに建てた、古ぼけたスラブ家だ。父と妹は、テレビの前に座って、夕食の準備を待っている。母は、台所で何か焼いているようだ。健治は、夕食をとらずに外出することを、今朝両親に告げてあったので、部屋を出て、「行ってくるから。」と、小さな家には不釣合いなほど大きな声で言った。

健治は、いつも通学に使う自転車に乗って、パイナガマに向かった。空はまだ明るい。門を出て、車一台通ることのできる緩やかな上り坂をこいでいく。左右の家からは、夕食の準備をする音が聞こえ、料理の匂いが漂っている。健治は、まっすぐ自転車をこぐ。すぐに集落は途切れる。左も右もサトウキビ畑だ。この間、植え付けられた苗が、もう、健治の背丈ほどに育っている。さらさらと畑を横切る風が、今日は健治の背中を押してくれる。健治は息を切らして自転車をこぐ。汗が額から滴り落ちるころ、健治の自転車は大きな下り坂にさしかかる。健治は昔からこの坂を下りるのが好きだ。かなりの傾斜で下りていくこの坂の先には、夕日にきらきら光る海が見える。風が今までかいた汗を吹き飛ばし乾かしてくれる。もう、ペダルをこぐこともなく、このまま坂の下まで下りて、道なりに進めば、パイナガマビーチに着く。

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2007年5月13日 (日)

ほっぺ(1)

Dscn1385 建治は宮古高校に通う17歳。毎日気の合う級友たちと楽しく過ごしている。小さな学校なので、知ったやつも多いが初めて話をするやつもいる。女子とはあまり話す機会もないが、新しいクラスにも慣れ始め、4月も終わろうとしている。明日から、ゴールデンウィーク。学校も最初の三連休。昼休みには、仲のいい大志と明日からの予定を話していた。大志の携帯が鳴る。知り合いの娘からのメールらしい。

「おい、花火するってよ。」

「ちょっと早くない?」建治は苦笑いした。

「じゃあ、建治は行かんかー?」と大志。

「行く。行っとくよー。」と建治は大志の携帯を覗き込んだ。どうも、大志たちの考えでは、4対4のセッティングらしい。大志とその娘は、建治たちも仲間に引き入れて、お互いの距離を縮めようとしているのだろう。

「明日7時、パイナガマだから。」大志は、こっそりと建治に言った。

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