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2012年6月 5日 (火)

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 厚い雲に覆われた真っ黒な空から灰色の雪が降る。ちらりちらりとレーザービームで照らされて、降りしきる花びらのようにユラユラと降っていく。もちろん雪は白い。ただそれを照らす明かりが下からぼんやりと届くだけなので、本来の白さではなく灰色に見えてしまう。時折、銀河鉄道のために軌道を示すレーザービームがシュッシュッと光るとその光を反射して雪はちらりちらりと白く輝く。もう何十年も続けてそうであるかのように。

 ここは繁栄を極めるメガロポリス。空を突く摩天楼がところ狭しとひしめき合っている。幾多の窓から明かりが漏れている。幾分重くなった雪は窓辺の明かりに照らされて白く静かに降り下りていくが、この都市にはそんな物に興味を持つ者はもういないようだ。

 ある窓の奥には平凡な家族がいる。薄暗い明かりの下に、かなり太ってしまった若い男女がいる。それなりに痩せていれば、それなりの容姿でいるはずだが、彼らはそんなことにはお構いなしで、それぞれの欲求を満たすためにソファに座っている。身を包み込むように埋まっていると言ってもいい。顔の前には透明なディスプレイがある。男はそれで性欲を満たそうとし、女はそれで恋愛を楽しもうとする。音は外には聞こえないようだし、そもそも男も女も相手のことはまったく気にしていないようだ。そして絶えず手元から食べ物を運び口をモグモグ動かしている。隣の部屋には5,6歳の女の子が一人カプセルの中で寝息を立てている。

 ある窓では、細身の女性、24,5歳だろうか、窓に向かいソファに腰掛け、ただ降り続く雪を見つめている。いや彼女は雪を見ているのではない。自分の心の中の眺めているのだ。雪の動きはその思考にリズムを与えるだけのものでしかない。金色の長い髪を細い華奢な指でもてあそびながら、今までの彼女が通り過ぎてきた事、これから彼女がやらなければいけない事を何となく外の雪を見ながら考えているともなしに考えている。

 深々と降り下りる雪。だが突然雪は消えてしまう。人が作り上げた最大の都市、このメガロポリスでは、地上にあるものに名前を付けないでは置かれない。人ならば常にコンピュータがその動きを追いかけている。自動車でも、猫でも、ネズミでもその動きは監視される。ただ、普通に動いている分には処分されることは無い。自由に動く権利は何にでも保障されている。あの部分に近づかないなら。。。

 メガロポリスは快適に人々が暮らせるように作られている。室内は常に人々のためにコンピュータによって制御されている。屋外でもそうである。雪、雨でも同じだが地面に触れた瞬間音も無く消えてしまう。人々が安全に暮らせるような都市、それがメガロポリスなのだ。

 しかし、降りしきる雪の中にはそのまま消えないでさらに下まで降り積もるものも多い。

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