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2007年6月 3日 (日)

ほっぺ(2)

209 健治の家は、漁港を持つ小さな集落の中にある。両親が結婚したときに建てた、古ぼけたスラブ家だ。父と妹は、テレビの前に座って、夕食の準備を待っている。母は、台所で何か焼いているようだ。健治は、夕食をとらずに外出することを、今朝両親に告げてあったので、部屋を出て、「行ってくるから。」と、小さな家には不釣合いなほど大きな声で言った。

健治は、いつも通学に使う自転車に乗って、パイナガマに向かった。空はまだ明るい。門を出て、車一台通ることのできる緩やかな上り坂をこいでいく。左右の家からは、夕食の準備をする音が聞こえ、料理の匂いが漂っている。健治は、まっすぐ自転車をこぐ。すぐに集落は途切れる。左も右もサトウキビ畑だ。この間、植え付けられた苗が、もう、健治の背丈ほどに育っている。さらさらと畑を横切る風が、今日は健治の背中を押してくれる。健治は息を切らして自転車をこぐ。汗が額から滴り落ちるころ、健治の自転車は大きな下り坂にさしかかる。健治は昔からこの坂を下りるのが好きだ。かなりの傾斜で下りていくこの坂の先には、夕日にきらきら光る海が見える。風が今までかいた汗を吹き飛ばし乾かしてくれる。もう、ペダルをこぐこともなく、このまま坂の下まで下りて、道なりに進めば、パイナガマビーチに着く。

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